世界的に広まりを見せているCBD、日本でも若者を中心に認知度が高まっているとは言えまだまだ爆発的にといった感じではないでしょう。
その理由として、日本が麻薬禁止国であるという事実は大きく関係しているはずです。
麻薬を摂取することでどのような危険があるのかが学校でも教えられ、テレビ報道を見ると有名芸能人が所持・使用で逮捕されています。
ヘンプは恐ろしい植物、その意識が奥底にあるのでなかなか手を出しづらいのです。
でも実際には幻覚症状や依存性といった危険をもたらすのは、ヘンプの中に100種類以上あるカンナビノイドの中の1つ・THCという成分だけです。
信頼できるお店でTHCが入っていないCBD製品を買えば大丈夫、人体に危険な影響を及ぼすことはないし逮捕される心配もない、CBDについて調べているとこういった記事が多数見受けられるでしょう。
記事の数が多いのはそれだけ日本人の不安の表れ、でもこれらの記事が功を奏しているのかようやく利用者が広がっていっている中で、「CBDは胃の中でTHCに変化する」といった気になる論文が出てきました。
THCに変換される?人間の身体の中でも起きているとは言い切れない
掲載されていたのは2016年創刊の医学ジャーナルの中です。
CBDオイルやグミ、経口摂取のものは食道から胃を通って腸へと向かうのですから必ず胃酸のシャワーは浴びることとなります。
もしかしたら気が付かないうちにTHCを摂取していたのではと今更ながら恐ろしくなって使用を辞めてしまった愛用者もいることでしょう。
こちらの衝撃の内容、アメリカはペンシルバニア州のZynerba社の製品情報ページに掲載されています。
同社ではCBDオイルとはまた違った皮膚から吸収する製品・CBDジェルを開発しているそうで、その理由として挙げているのです。
これが本当であれば、税関で厳しい審査を設けたり個人でも日本製のCBD製品を選ぶなど気を配っていたその行為が無意味なことになってしまいます。
CBDに関する政策・規制に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。
ただ冷静になって考えてみてください。
日本での広まりはまだまだこれから、とは言ってもすでに使用した方の数は10や20どころではありません。
もちろん世界にも愛用者は何万といます。
その中には電子タバコを使っての気化吸引といった方法を取る方も多いですが、CBDグミやオイルでの経口摂取も一般的です。
でも、THCのような強く精神面に影響があったという口コミを見ることは無いはずです。
気分が軽くなった・リラックス効果が得られたということを「トリップした」といった過剰な表現方法を使う方も少数はいたりしますが、それとTHCによる作用とは別物です。
ですからCBDを過剰に恐れる必要は無し、この考え方を改めなくともよいでしょう。
そんな危険なものであればすでにもう回収が始まっているはずです。
それではなぜ「CBDがTHCに変換される」、このような結論が出されたのでしょうか。
こちらは、Zynerba社に雇われたジョン・メリックら科学者たちが発表しました。
彼らは実験用の臓器モデルを使って調べたのです。
人工の胃液に抽出された肝ミクロソームなど、確かにこれらによりCBDからTHCへの変換は起きたのでしょう。
ですがこれが同じように人間の身体の中でも起きているとは言い切れないのです。
その反対に、CBDを600㎎以上という適量の何倍もの量で経口摂取したけれどTHCのような作用は起こらなかったといった臨床試験というのはたくさんあります。
脳においてCB1受容体に重大な受容体活性を引き起こさなかった、すなわち「ハイ」の状態を生み出さなかったといった結果ははっきりと示されているのです。
人工物ではなく実際に人間を対象とした研究で、CBDを経口摂取後にごく微量ながら尿からTHCが排出されたという研究結果もいくつかありました。
ただし出てきたTHCはCBDの1パーセント未満、それが危険な精神作用を引き起こすようなことは無かったのです。
人工胃液でのCBDからTHCの変換を調べた研究はメリックのものとは別にもう1例、ワタナベ氏らが2007年に行いました。
おかしなことに、ワタナベ氏の実験では20時間もの長い時間をかけてTHCに変換されたのはわずか3パーセント未満だったそうです。ですがメリックの論文だと1時間で85パーセントもが分解されたとあるのです。
200倍もの差は胃液モデルの違いも関係するのかもしれませんが、これだけ結果が違っていると信ぴょう性は疑われてしまいます。
それではどちらの情報が間違っているのでしょう。
メリックらの研究に対してはさっそく批判が相次ぎ、その後のジャーナルに返答が掲載されました。
そこには明らかなる嘘・巧妙な事実の捻じ曲げが満載だったのです。
引用された過去の研究の解釈もまた正しいとは言えず、どうやらこちらの論文をそのまま鵜呑みにするのは避けた方が良さそうです。
CBDを経口摂取するのは有害かもしれない、その考えが広まるとZynerba社としては金銭的な恩恵あり、そのあたりが関係してそうで科学者だって正しい研究結果を世の中に伝えることよりも会社の利益を守ることを最優先するものはたくさんいるということです。